幼稚園の年長に進級して、いよいよ、夜のオムツが心配になった。
我が家の娘は、3歳半の時、トイレでのおしっこをクリア。うんちは、4歳過ぎてからだった。先生のご協力があってつかみとったトイレ権だけれど、周りの子を見るに、たぶん、遅い方だったと思う。
晴れて、「昼間の娘」はトイレと仲よしになり、慎重派な彼女は、遊んでいる時でもごはんの時でも、ちゃきちゃき用を足しに行った。そのおかげで、我慢しきれずに結界、なんてことも全くなくて、オムツを持たずに出かけられる快適さは、また1つ越えたなという希望になった。
だけど、「夜の娘」はというと、オムツと協定を結んだままだった。昼間、長ければ5〜6時間は我慢できたけれど、夜は、3時間おきにおねしょをする。年中の頃は、だいたい11時間寝ていたのだが、その間、3回はした。私が23時頃寝るタイミングでオムツを触ると、もう自信満々に済み。オムツを外せる目安として、「朝までオムツが濡れていないことが増えてきたら」と聞くけれど、今のところ、遠い。
それでも、一度挑戦してみようと、年中の夏時期を狙ってやってみた。本人も、「このままでいいのだろうか」という気持ちがむくむくとしていたようで、「頑張る」と前向きだった。
「おしっこはトイレ。おしっこはトイレ。おしっこはトイレ」
2人で念じ唱えて、いざ、おやすみ。
緊張感を持ちながらの睡眠。もしかしたらもしかするか!?と、少しの期待を飼っていたのだけれど、きっちり、3回した。見守りカメラで観察していると、22時半くらいには、ズボンが濡れている。やっぱり、4時間と経たず、結界していた。本人はというと、ちっとも起きる気配なし。夏だろうと冬だろうと、「濡れたら気持ち悪くて起きるよ」と噂で聞いていたのだけれど、我が子はずば抜けた睡眠力によって、夢の中にいたままだった。2回目のおねしょは、夜中2時頃。本人より、むしろ私の方が緊張して寝ているせいか、ジョジョ〜というおしっこの音で、起きる。3回目は、朝5時半頃。運よく早起きで、おねしょせずにトイレに行けることもあったけれど、大抵は、していた。
最初2〜3日は、おねしょの度に起こして処理してと、まめに動いていたのだけれど、睡眠不足が早々に本気になって、夜中は起きれなくなった。朝、2回分のおねしょを背負った娘が、なおもぐーぐー寝ている。鈍感が、神がかっておるな。
とうとう、想定通り、かぶれた。お尻と、腰回りが、赤くなって痛々しい。おねしょをする前に起こしてトイレに行かせる方法でやるか、とも思ったけれど、起こさない派の考え方が私にはやっぱりしっくりきて、思いとどまった。起こされないと起きれない、というレースに入ると、そこからなかなか抜けられなくなるという話は、「後で面倒」が苦手な私に刺さった。それならば、「今面倒」を選ぶぞあたいは。
というわけで、1週間ほどで、オムツ外しプロジェクトは閉幕した。昼間と同じように、6時間おねしょをせずにいられたこともあったけれど、それも完全にまぐれの匂いが強かった。夕飯の時間を前倒したり、寝る前2時間は水を飲まないなど、ネットで気を付けましょうと言われていることは試してみた。膀胱を育てるために、昼間もなるべく我慢するように促してみたりもしたけれど、なかなかうまく進まなかった。もしや、膀胱に何か問題でもあるのか…?そんな不安が募り、パパとも相談して、病院へ行ってみることにした。
「おねしょ外来」で有名な、街のお医者さん。近くない距離だったけれど、安心したい一心で予約した。
「おしっこが溜まっている状態を診たいので、無理しない程度に我慢してきてもらえますか」とのことで、飲み物を調整して向かう。着くと、「おしっこ、まだ大丈夫そうですか?もし我慢できんかったら、行ってもらっても大丈夫なので」と、看護師さんは思いやりいっぱいで、一瞬で気持ちが落ち着いた。問診票を書く間、娘は、おしっこのことなどそっちのけで、病院の子ども用おもちゃで遊び出した。しばらくは大丈夫そうだ。
10分ほど待って、呼ばれた。今までおねしょをしなかった日はないこと、寝ている間に3回はおねしょをすること、おねしょをしてもちっとも気付かないこと。気になることをかいつまんで伝える。すると、「まずね、このくらいの時期はまだおねしょは全然あります」と、しょっぱなから肩の荷が下りた。「年少の頃にはもう外れてた」とか、「何にも対策しなかったけどできた」とか、夜のおしっこをクリアした組の話を聞いて、ますます不安になっていたけれど、そうか。そうなのか。3回もおねしょをしているけれど、おねしょの専門家が言ってくれるのだから間違いない。はみ出し者ではないのだと、目の奥がつーんとなった。
「なので、本格的に何か治療をするとしても、小学1年生の夏休み頃です。オムツが安心するならオムツでいいし、たまに外してもみてもいいし、お子さんと決めてください」
具体的な時期を教えてもらって、まだ、焦る段ではないことをしっかり受け止める。
さて、膀胱の状態を知るためエコーを撮ると、おしっこが溜まっている様子が見えた。娘は、「なになに?見たい見たい!!」と、顔をぐいんと画面に向け、体の不思議を今まさに実感する。
トイレに案内され、紙コップにおしっこを取るよう言われたので、共同作業。軽くなった膀胱を、再度エコーで診てもらう。
「ちゃんとおしっこも出し切れてるし、問題ないですね」
どうやら、膀胱異常はないらしい。膀胱に何かある場合は、おしっこが出る感覚が鈍いため、残っていることが多いのだそう。あとは、便秘が影響することで機能がうまく働かないこともあるようだけれど、腸もとても良い状態だから心配ないということだった。
そうなると、原因が気になるところなのだが、例えば冷え性だったり、ストレスだったり、いろんなことが重なっていたりするから特定するのは難しいそう。
「とにかく、起こさず焦らず怒らずにね」
この病院のサイトを見た時に飛び込んできた3拍子を、先生から生で聞けた。
秋にはお泊まり保育もあって、ほとんどの子がパンツだろうけれど、前向きに、あきらめることにした。1学期末の個人懇談で、先生にちゃんと話しておこう。そうと決まったら、ようやく深呼吸ができた。解放された。とはいえ、膀胱を育てていくのに役立つから、「おしっこに行きたくなったら、5分我慢してからトイレに行くっていう練習をしてみてね」と、看護師さんから育てゲーのルールを教えてもらう。娘は、堂々やる気。「そうてぃんちゃん10分我慢する!」と、積極的に限界を広げてきて頼もしい。
1mmずつでも、前に進めたらそれでいい。体を育てる娘と、心を育てる母。プロジェクトは、まだまだオムツも伴走だ。
5歳。おねしょ外来へ行く。今面倒を選ぶぞあたいは。

