我が家の娘は寝ることが大好きな生き物だ。
食べることへの愛には敵わないけれど、遊ぶことと比べれば寝ることが圧勝するレベル感で睡眠をこよなく愛しており、寝食忘れて延々遊ぶのが子ども、というイメージはばりばりと打ち砕かれた。もともとの睡眠欲が強めなこともあるだろうが、赤ちゃんの頃に染み込んだ習慣が今につながっているのではないかと踏んでいる。
予定日より1ヶ月以上早く、2,100gほどの重さでこの世に誕生した娘は3週間ほどNICUに入っていた。お腹にいた頃はあんなにも重く感じていたのに生まれ出た娘はふわんふわんに軽くって、両手に乗せたら指と指の間からふんにゃ〜と漏れ出てしまうのではないかというほどやわんやわんだった。もはや体の中に骨や臓器がちゃんと備わっているのか心配になるほどであったが、保育器にいてもよく泣きよく飲みよく眠る子であっという間に大きくなり退院となった。
母より2週間遅れで我が家へと帰ってきた娘は2日間夜泣きもなく、ミルクを飲めばすーすー眠り、とても新生児が住んでいるとは思えないほどに静かで穏やかな家庭であった。これならば大丈夫そうだと旦那さんと2人で心底安堵したのだけれどそれも束の間、3日目には夜泣きモンスターと化して一睡もできずに朝を迎えた。やれることを全てやり尽くしても娘には微塵もヒットせず、赤ちゃんという生き物の難しさに翻弄され、1日や2日寝られないくらいどうってことないというスタンスの持ち主である私と旦那さんだけれどもうちょっと無理かもとたまらずめーめー泣いた。寝られなかったという事実以上に、頑張っても頑張っても空回りし続け、愛しい娘に受け入れてもらえないという状況は想像以上にキツかった。解決の兆しが全く見えない中で空だけがちゃんと明るくなり出し、こっちの事情などどこ吹く風と新しい1日が始まることにもわなわなした。
そうして体を休めるべき夜に泣き続けたものだから娘も生きることのリズムがちぐはぐになり、日中も疲れによる不機嫌が爆発したりしていよいよなんとかせねばと藁にもすがる思いでねんねトレーニングを始めた。子育てのプロフェッショナル、ジーナ・フォードさんが提唱するジーナ式という方法に頼ったのだが、赤ちゃんの生体や夜泣きが起こる理由、それに対する具体的なアプローチの仕方全てを教わり、2週間後には1人ですぴーすぴー眠るようになった。赤ちゃんと言えばママの添い寝が当たり前と思っていただけに、ベビーベッドに寝かせるとにっこりして静かに眠り始める姿を見た時はぶったまげた。本物の天使だと軽く震えた。なるほど、0歳児でも昼間はもりもり活動し夜は静かに眠るものだということを覚え、しかも夜しっかり眠ると次の日はご機嫌絶好調で過ごせることを体感として感じ取れるのだなと、見た目と為していることのギャップがすごすぎて恐れ入った。当時はほんとのほんとにスーパー赤ちゃんなのではと、もしかしたら偉大な生命体が我が家にやってきてしまった可能性に結構本気であわあわしていたが、これが習慣というものの強さなのだろうと冷静になる。
そうして睡眠の重要性と価値を会得し食べることの次に寝ることが大好きになった娘は、2〜3歳の頃ママと一緒に寝たい時期がしばらくあったものの「もう1人で寝れるからいいよ」と母を突然解雇し、4歳の今はソロ眠を楽しんでいる。我が家は見守りカメラで睡眠時間を記録しているのだが、添い寝をしていた時は眠るまで大体15分くらいかかり、長い時は1時間くらいむにゃむにゃとしていたが、1人だとものの2分くらいで眠っていてさすがに驚いた。睡眠に母は不要なのだなとちょっぴり寂しくもなったけれど、旅行で3人1つのベッドに寝る機会があれば「やったー!」とそれもイベントとして喜んでくれるし、こっちも嬉しくてみんなでぴっとしして寝る。なんであれ、忙しないウィークデーの夜にちゃんと時間が取れるのは結果的に有難い。3歳までは夜中むくっと起き「目が覚めちゃったよ〜」とリビングにやってくることも度々あったが、4歳になってからは目が覚めても「まぶしいところに行くと寝られなくなるから」と暗い寝室で布団を静かに整えまた寝出すというのが当たり前になったものだから、天使よ…とまた有り難がった。睡眠力自体もぐんと上がったようで私が部屋に入ってもびくともせず、朝まで目を覚まさずに眠り姫になっていることも増えたから、夜の時間はもはや大人3人で暮らしているような感覚になる。6歳のうさぎを飼っているのだが、夜行性だから夜はぴょんぴょん跳ね木をがじがじ噛みまくり、トイレをがっしゃんがっしゃんして騒ぐからむしろこっちに手を焼いているほどだ。
兎にも角にも、1人で寝ることが習慣の娘のおかげで我が家はみんなずぶずぶに眠りこけ健康体だ。寝る子は育つというのが中年の身にも有効なのであれば我が家からエジソンが3人生まれそうなくらいである。私も旦那さんも寝ることが好きなのだけれど、そういうのも遺伝的なものがあるんだろうか。
何にしても、娘にはこれからもたくさん寝てもらって、体も心も頭もぐんぐん育てていってほしい。











