食べることを愛しすぎる娘の食エピソード。

カレーライス

三度の飯とおやつの時間に一切の関心と希望を向けしゃんしゃん生きる娘の食エピソードは尽きない。遊びの幅が広がり理解力もぎゅんとついて楽しめるアニメも増えてきたけれど、信じられないくらい遊び<食、Youtube<食で、食への思いはとどまるところを知らない。確かに、白飯ならば2合を滑らかに食し、ミスドならば4こ5こはサクッと平らげる大食いの母から生まれ出たのだから、食べることが大好きであっても不思議はないのだけれど、貪欲っぷりはこの私でさえ舌を巻くほどだ。

妊婦時代、私はほとんどごはんを食べなかった。いや、食べられなかった。前半は、出産のために食べて体重を増やしましょうと許可が出たのをいいことにあり余る食欲を野放しにしたのだが、でも太り過ぎはダメという現実を前にできるかどうかハラハラし恐ろしくて食べられなくなった。後半は、お腹が大きくなったことの胃の圧迫感で物が入らず、呼吸の苦しさにくたくたして家事と散歩以外はほとんどベッドでのびていた。体重が増えないことを心配されたけれど幸い娘も順調に育っていたから、「食べたいけど入らないんです」と食欲の威勢の良さだけはしっかり伝えメンタル的な部分は問題ないことを主張した。
そうして悶々と過ごす数ヶ月の間、お腹の中で大きくはなりつつもきっと満たされてはいなかったのだろう。その満たされなさを埋めるように娘は食べることに貪欲で、食が圧倒的上位に君臨している。早めの爆誕で一時NICUにも入ったし健康面は大丈夫かと心配したあの時、5年の歳月を経ても生きることは食べることだと全身で証明してくれる今、食い物の恨みはなんとやらと言うけれど、恨みではなくともそこに深い縁があるのは間違いないだろう。
さて前談が長くなったが、そんな娘の食にまつわるちょっと珍なエピソードをご紹介したいと思う。

もくじ

食への愛はいかほどか。

ワンプレートごはん

食い意地がバグってバナナの皮をそのまま食べる。

2歳半くらいの頃、大人で言う周期的なものが子どもにもあるのか無性に食べたい欲を燃やしていた娘は、デザートのバナナを食べ終えてもまだ食べ足りないオーラを色濃く放っていた。1歳半の健診時にほぼ肥満児ちゃんの称号を得たものだから母娘で食事改善に勤しみ、わりと何でももりもり食べられた日々から質と量が徹底的に管理された日々へと移行し、もちろん体は慣れていったのだが心が満たされない日があったのだろう。片付けようとするも頑なに片付けさせまいとバナナの皮を弄び、バナナの皮は食べられないのかと聞いてくるからそのままでは食べられないと伝えるもやけくそだ!みたいな勢いで皮に噛みつきむしゃむしゃ食べた。「え?食べられるよ?」とだいぶ無理をした表情で食べる娘に、いやいやおいしくないでしょ〜と一緒にかじってみるも口の中がむがーーっとしてえっごめんちょっと無理と片付ける。調べると、適切な調理をすれば皮も食べられるそうだがその適切な調理をしていないのだからお腹を壊したりするかもしれない。わりと頑丈な腹の持ち主ではあるものの、初めてのことだから心配でそのあとそわそわと過ごしたけれど結局何事もなく時は過ぎ、娘のバグった食い意地にただただ驚いたという思い出になった。

「ごはん食べるよー」の「ごは」くらいでYoutubeを消す。

料理中の1時間弱、娘は基本的にノートPCでYoutubeやNetflixを観て過ごす。おさるのジョージから始まり、リトルエンジェル、パウパトロール、シャークドッグ、ぐでたま、ベビーバスのラブールけいぶとさまざま辿り、最初こそ操作できず「変えて〜」とリクエストしてきたが4歳にもなると自分でするするとやってのける。パパから「ちょっと離れて観てね〜」と視力の心配をされるからそれなりに意識はしているようだが、熱中しているうちに距離が縮まり結局かじりついて観ている。あったあったこういう時期。料理が終わると娘のごはんセットをトレイにのせ、「ごはん食べるよ〜」と声をかけるのがYoutube終了の合図なのだけれど、娘は「ごは」くらいでスペースキーを押して動画を止めパタンとPCを閉じテーブルにつく。その閉じるスピードたるや、華金に定時であがるOLよりも速い。ラブールけいぶのワンポイントアドバイスに全集中しているかと思いきや、めっちゃ背中で聴いてる…!確かに、視聴中でも声をかけたらわりとぱっと振り向けるくらいには気の範囲が広い娘ではあるが、もうすぐごはんの気配を感じ取る能力すごすぎないか。2歳の時に比べれば十分アニメっ子になったけれど、食に対する姿勢はもっとずっと真摯になったように思う。

ただ「ごはんが出来上がるのを待つ」という時間を楽しむ。

料理中は動画を観て過ごすのが基本ではあるが、「今日は観たくないからごろごろしながらごはんができるのを待つ」と、音や匂いを感じ食べる時間以外も楽しみますという宣言をする日がある。「そうかそうか、でも時間かかるけど大丈夫?」と聞くと「大丈夫、待てる」と言うので、キッチンから見える和室で文字通りごろごろとする娘を横目に支度をする。とは言っても、フライパンがジュ〜〜レンジがチンっと鳴れば「なになにー!?」と高速で駆けつけてきて、「ん〜〜いいにおい…」とにまにまし、おままごとセットからソルト&ペッパーを取ってきて「おいしくな〜れおいしくな〜れ」と振りかけてくれる。しまいには「あ〜もうがまんできないっ…!」と本当に我慢ができない様子で、だけどすこぶるにぎやかにダダダーっと和室へ駆け込み、燃え上がる食欲の炎よ沈まれ…!とばかりにごろんごろんして闘う。空腹の気を紛らわすためにもYoutubeに頼った方が良いと思うのだけども、そわそわと楽しみにする時間すら楽しみたい人なんだなあと改めて食への愛を感じた。

朝起きてすぐおやつを準備したら、積極的にときめく。

我が家は朝が早く私も娘も6時前に起きるのだが、起きるや否や「おやつ決めよ〜」とキッチンへ直行する。少し前まではリビングでぼーっとしたり洗顔する私の周りをうろうろしたりして、寝ぼけ眼がすっきりしてからおやつ選びに向かっていたけれど、とりあえずおやつが決まらなければ今日の気分が決まらないとでも言うように即お菓子コーナーの引き出しを開ける。何やら1人でぶつぶつと思案し「今日はこれにする!」と決めたメンバーを披露してくれるから、カロリー的にセーフならいいねいいねとゴーサインを出し、アウトならちょっと変えようかと再検討してもらう。今日の気分と、現実的なカロリー問題の狭間で悩む姿は真剣で、おやつに懸ける思いががしがし伝わってきてきゅうううんとなる。決まったらキッチンのカウンターに丁寧に置いて幼稚園に行くまでの間何度となく眺め、「はあ〜〜楽しみだなあ」とわくわく積極的にときめいて、あっ娘にとってはそこまでがひとつながりなんだなあと、その楽しみ方いいなあといつも思う。

丼ものやワンプレートごはんは具材と白飯を別々に食べる。

どどーんとボリューミーに見えるしやったやったと喜ぶから、我が家でも丼ものやワンプレートごはんはよく作る。カレーライス、親子丼、ばくだん丼、ガパオなんかは定番だ。白飯との相性が最高だなと食べる度に思うし、スプーンにすくう具材と白飯の割合に私は結構気を配るタイプで、白飯7の具材3くらいが1番好きである。具材のパンチが白飯によってほどよくゆるまり、口の中がちょうどよさでいっぱいになる。両方あって初めて完成される幸せだなあと、具材と白飯と一緒にバンザイしたくなる気持ちだ。さて、そんな心持ちである私のことなど見えていないかのように娘は具材と白飯を別々に食べる。全がけのカレーライスも上のルーを食べてから下の白飯を食べ、半がけならばもちろん左右で別々に食べる。確かに娘は白飯を白飯のままおいしく食べられるタイプではあるし食べ方は人それぞれ自由なのだが、お茶碗に盛られた白飯とカレーライスのルーがなくなった白飯とでは見守る側の切なさが違う。平皿に盛られたカレーライスがただのライスになった姿は望まずして取り残されてしまった感がすごくてどうにも切ない。本当はルーと一緒にほかほかのうちに食べてもらいたかった…と聞こえてくるようだし、実際冷めてかぴかぴしかけている白飯はおいしさで言ったらやっぱり60点くらいにはなるのではないだろうか。そして、何よりそれをぱくぱくする娘を見るのがちょっぴり切ない。いや、娘はその60点になった白飯でさえおいしそうに食べるし、「ふりかけでもかける?」と聞くと「んー大丈夫〜」と言うほど白飯が好きなのだから切なくなるなど絶対に違うのだが、本人もルーに集中していて気付かないうちにごはんだけ残っちゃった…やってしまった…的なことであればやっぱりかわいそうになってしまう。ある時いよいよ「ごはんと一緒に食べないの?」と聞いてみると、「え?だってこの方がいっぱい食べられるじゃん」と、ついに秘密を打ち明けちゃったみたいな顔でへへへと笑う。ルーとごはんを一緒に食べると一気に減る、別々に食べるとゆっくり減る。つまりいっぱい食べられる!ということらしい。なるほど、総量は変わらないが確かに、楽しみは倍になるとでも言おうか。カレーライスの時間よりも、カレーの時間、ライスの時間、と2つの時間が娘にとっては幸せなのだ。一緒に食べた方がおいしくない?とか、カレーだけ食べたらしょっぱくない?とか、そんな野暮な質問はしてはなるまい。
そういえば、娘はおやつも2種類食べたがる。1つの量は少なくてもいいから2種類食べたいんだと主張してくる。そうか、食に対する自分の性質や価値観をもう理解しているのだな。さすがは食欲モンスター。

まーむ

これからも自分の心に忠実に生きていってほしいと思う。

カレーライス

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