娘の食欲モンスターっぷりは度々記事に書かせてもらってきたけれど、その食欲は3度の飯やおやつという機会だけにとどまらない。料理中に何か落ちてこないかとうろうろするのはもちろん、両親の束の間のコーヒータイムには飲ませろ飲ませろとブンブンしっぽを振り、夜コンビニから帰ってきたパパのご褒美コレクションには1つ1つチェックを入れ「いいなあ〜」と本気であわよくばを狙う。食へのたぎり方がすさまじくて、一旦おっけーを出してしまうと暴走モードが止まらないから、基本おやつ以外の間食はしないというのが我が家のルールではあるものの、常に棚からぼたもちを求め生きている。甘え上手がゆえに私も結構甘くしてしまうのが問題だったりするからいかんいかんと喝を入れながら、娘のおめめキラキラビームもなるべくバリアしてやり過ごしているが、それでもぐいぐいと、ひと口でもねじ込めるチャンスがあれば貪欲に、果敢に喰らいつくのが我が家の5歳娘である。とは言え、そんな彼女も決めたことは黙って守り切るという強い意志も持ち合わせており、自由に選べるよう娘の手の届く場所におやつコーナーを設けているが、「おやつはおやつの時間だけ」という約束を重んじ、おやつ以外の時間にこっそり食べちゃうというようなことは今まで一度もない。おやつの在処を知っていてしかもいつでも手に入るという状況は、食べ物ハンターにとってはなかなか過酷なのではと思ったりもするけれど、そこはしっかり心得ているらしい。小さな子どもながらに長生きしたいと主張する娘だから、お菓子=おいしいが体には良くないもの、太るものという事実を知識としてはもちろん、自分の体感でも何かしら学び、忠実に生きているのだろう。
それはさておき、今回話したいのはサプリについてだ。娘は幼稚園に通い始めてから、乳酸菌やDHA、カルシウムなどが配合された、噛んで食べられるマルチキッズサプリを摂っているのだけれど、そのサプリを巡って事件が起きた。毎朝2粒、娘は自分でサプリを取り出して食べるのが日課で、1日絶対2粒が親との約束であり彼女の守るべきことだったのだが、どうやら3粒食べていることがわかった。その日、サプリのふたを開け、なぜか食器棚にスッと身を隠した娘を見つけた時、母の勘らしきものが働いて「サプリ2こだよ」と言いながらリビングに向かうと、返事がない。おや…?と思い娘の方を振り返って、「サプリ2こ食べた?」と聞くと、流しの蛇口と洗剤の間からじーっと意味深な表情で私の目を見つめ黙っている。ひょっとして、と、クロかもしれない可能性がむくむくと湧き立ってきて、これは話さねばなるまいとこっちに来るよう伝える。この展開やだなあと沈みつつも、自分の心臓音はバクバクと鳴り、娘もこの世から食べ物という食べ物が一切消え去った後みたいな顔をしている。もう一度「2こ食べた?」と聞くと、気まずそうな顔でしばらく黙っていたもののやがて首を横に振ったので、「何個食べたの?」と聞くと、手で「3」と示してきたからため息が出た。「なんで3こ食べたの?」と理由を聞いてみると、「おいしくて食べちゃった」と言う。確かに、このサプリは子どもが食べやすいようにパイン味にしてあって、ラムネのようにひょいひょい食べられてしまう。栄養補助が抵抗なく簡単にできて有り難いけれど、時に困る代物なのだ。なにしろ、食べやすさはお菓子と一緒だが、食べすぎた場合の危険度は比較にならない。薬ではないけれど、薬と同じで摂取量を守らなければならない要注意人物であり、おいしいから、もっと食べたいからで食べてはいけないものなのだ。だから日常的に2こだよ2こだよと2人で伝えていたし、私自身、量を摂りすぎて痛い目を見たことがあり、その経験談も含め危険性を伝えてきた。だけれど、実際伝わっていなかった。食べたさが勝れば手を止めることができないのだから、こっちの真剣さほど重くは受け止められていなかったのだろう。何より私は、食欲おばけとは言えサプリたった1粒に自制心を保てなかったことがどうにも情けなく、その1粒食べるのと食べないのとで何が変わるねん!みたいな気持ちがぎゃんぎゃんして、しかも3粒食べたのは今日が初めてじゃないという事実も明るみに出たからますますぎゃんぎゃんしてぶちまけた。パパはパパで、健康のために摂っているのに摂りすぎたら健康じゃなくなっておいしいご飯も食べられなくなるのだぞよと、冷静に現実を伝えてくれ、食べたいし長生きしたい娘には何か刺さったと思う。話しながら、もしかしたら、サプリはそもそも体に良いものなのだから良いものをたくさん摂るのは良いこと、みたいな方程式が娘の中にはあって、それで自制が働きづらかったのかもしれない。何にしても、食の誘惑となると途端に意志がか弱くなってしまう娘にやきもきが止まらなかったが、結局その日は、食べすぎたけど何も起きなくて良かったねで解散し、サプリは今後どうするかと聞くとやめると言うので片付けた。
翌日、すっきりとした頭で考えると、まだ伝えるべきことがあるな…?と使命感がじわじわとやって来たから、タイミングを見て「大事な話してもいい?」と聞くと、「なに!?いいよ!」と言うので話す。「そうてぃんちゃんはね、家族のお仕事やるって決めたらやり続けるし、良い言葉を使うって決めたら守るし、ちょっとこわいな〜難しそうだな〜ってことにも挑戦するし、本当に心が強い人だと思う。だけど、食べ物のことになるとどうやら心が弱くなっちゃって、昨日みたいに絶対食べちゃいけない場面でもいいや!おいしいから食べちゃおう!ってなっちゃうみたいなんだよね。そういう時、難しいんだけど、いいや食べちゃえ!っていう自分を選ぶんじゃなくて、食べたいけど食べないぞっていうかっこいい自分を選ぶようにしよう。一旦立ち止まって考えよう」。なかなか難しいよなと思いながら話したけれど、「あっうんうん、やめとこーとか、我慢しよーとか考えて、かっこいい方を選ぶってことね」と、彼女なりの理解を示してくれる。私自身の目標として、イライラに飲まれず、怒りもせず、いつも穏やかな人を目指しているのを娘は知っているから、「ママもね、イラッとすることが起きた時、怒る自分を選ぶのか?それとも怒らない自分を選ぶのか?って心に聞いて、なるべく怒らないかっこいい自分を選ぶように頑張ってる。昨日はすごい怒っちゃったから大失敗だけど笑」と話すとけらけら笑って、「でもさ、怒っちゃっても、その後戻すのはどう?」と聞くので、「それはいいことだよね、失敗してもその失敗を取り戻せるように頑張ってるってことだから」と伝える。「とにかくね、ママもパパも大人だけど、そうやって心と向き合って、かっこ悪い自分を選んじゃうこともあるんだけど、でも次はかっこいい方を選ぶぞって繰り返し練習してる。日々修行よ」と言うと、「修行修行!」と、そっかみんな一緒か、みんな頑張ってるのか、みたいな同志感を感じたのか楽しそうにきゃはきゃは笑った。
この話がどのくらい娘に響いたかは今はわからない。し、頭ではわかっていてもできないという状況は大人でもたくさんあるわけで、これからも失敗しながら悩みながら向き合うことになると思う。でも、前世も、前前世も前前前世も、きっと食べることに苦労したんだろうレベル感で食べ物への執着がごりごりの娘に、実際の立ち向かい方を繰り返し伝えていくのは大切だと思った。どうやったら伝わるだろう刺さるだろうと考えるのは、正解がないだけに難しいのだけれど、でも、食べたくても我慢するんだよと伝えるだけではとてもまかないきれない業を背負っている感がぷんぷんだから、親も真剣に考え、彼女が自分で乗り越えていけるように協力していこうと思う。
結局、飲んでいたサプリは1日の摂取目安量が3粒と容器に書いてあり、そういえば、娘は何でももりもりと食べるから多少の補助で十分かもということで2粒にしたことを思い出した。そもそも子ども用として慎重につくられているものだから、ちょっと多く摂ったとて大丈夫だろうとは思っていたが、とは言え何か見えないところで影響があったら心配だなとそわそわもしていたから良かった。
サプリのおかげもあって体調を崩しにくくなったから、本人の中でいろいろ消化して、もう一回サプリ始めたい!となった時にまたお世話になろうと思う。











